
■谷川英勢(ギタリスト)
2025年10月19日(日) 浜松市・江崎ギター工房にて
試奏ギター: No.35Gドイツ松 No.55Gドイツ松 No.80ドイツ松 No.80米杉
伝統的な工法を重んじながらも、現代のコンサートホールで求められる優れた遠達性を両立させている点に、江崎ギターの哲学を感じました。
1. No.35ドイツ松:
まずNo.35を弾いた際に驚かされたのは、その価格帯から想像できない圧倒的なクオリティです。特に、高音から低音にかけての音量・音色のバランスが極めて均整が取れており、楽器としての基本性能が非常に高い。ハイポジション(特に12フレット以上)においても、明瞭で張りのある音がしっかりと響き渡る点は素晴らしい。このモデルは、初心者だけでなく、中級〜上級者が使用するギターとしても全く問題ないと思います。
2. No.55ドイツ松:
次に試奏したNo.55はNo.35の持つ明快さに加え、音がより引き締まり、深みのある響きに進化しています。
ネックの仕上げとシェイプも絶妙で、手のひらに吸い付くように馴染み、抜群の操作性を提供してくれました。演奏家が求める「楽器との一体感」をすぐに感じられるモデルです。
3. No.80(ドイツ松・米杉):
最後に、最高級モデルであるNo.80の松と米杉を比較試奏しました。
単に音色や音量に優れているというだけでなく、これから弾き込んでいくことによる楽器の成長が非常に楽しみになるような、大きなポテンシャルを感じました。開放弦から最終フレットまで、極めてリッチでサスティンの豊かな響きが持続します。
また、ハーモニクスの発音が非常に速く、キラキラとした輝かしい音色で、その心地よさは格別でした。
* ドイツ松:遠達成を感じさせるスッと通る音質。よく纏まった響きの深さがあり、ダイナミックレンジが広い。
* 米杉:より芳醇で色気のある音色が特徴で、私個人の好みに非常に合致しました。深みのあるダークな音色の中にも、艶のある高音がしっかりと聴こえてきます。反応の速さと音の抜けの良さも魅力的でした。
全てのモデルに一貫して感じられた江崎ギター最大の特徴は、まさに「圧倒的なバランスの良さ」に尽きます。素晴らしいラインナップでした。ありがとうございました。
(記:谷川英勢)