試奏評価記・アーカイブ Vol. 3 2018年~2021年

■木村 大(ギタリスト) 2021年12月12日(日)
試奏ギター: No.35G松、No.35米杉、No.80松、No.80米杉
江崎ギターを初めて試奏しました。精巧に作られたそれぞれのギターはステージが上がるにつれて音の重厚さや輪郭が増していきます。明るく歯切れがよく、なおかつ芯のあるバランス感があります。僕はふだん杉のギターを使っているので、なおさら「明るさ」と「シャープさ」を感じました。音はシャープだけれども、先端が丸くエレガントです。
どのギターも、弱音から強いタッチまでのダイナミックスを包容してこたえてくれるギターです。それぞれのギターのキャラクターや魅力を、ぜひ実際に触って感じてほしいです。
伝統あるスペイン式のギターはきっとひとりひとりの弾き手の気持ちにも応えてくれます。喜びも哀しみも様々な表情を魅せてくれるギター。江崎ギターが皆さんにとって生涯の出会いのギターとなりますように。

■徳永 真一郎(ギタリスト) 2021年10月3日(日) 試奏ギター: No.35G松、No.80松、No.80米杉
No.35Gは弦を弾いた時の反応の良さと低音から高音までのバランスの良さが素晴らしく扱いやすい楽器。
No.80松はNo.35の扱いやすさに加え、深みのある低音が特徴的です。音色の幅が広いため、細やかなタッチの変化に柔軟に対応してくれ,音の出方に奥行きが感じられました。No.80米杉のモデルです。杉特有の丸みがあり、同時に輪郭がくっきりと聴こえる発音の楽器というのが印象的でした。音の伸びも良く、ポリフォニックな曲を弾いたときに聴き取りやすさと音のふくよかさが同居していることがよくわかります。
江崎さんのギターはどれも上品な音色で低音から高音まで総じて鳴らしやすく、バランスがいい楽器だと思いました。今回はより一層そのクオリティの高さを感じました。

■岡本 拓也(ギタリスト) 2021年10月3日(日) 試奏ギター: No.35G松、No.80松、No.80米杉
No.35Gは高音域〜低音域のバランスが良く十分にステージでもその力を発揮できます。どこを弾いてもムラがなく、奏者の表現の可能性を抑制しない素晴らしいモデルです。
No.80松は調律で高級品の音を感じました。音色の艶ややかで上質な響きで、音量がありサスティーンが長く、音の一粒一粒がクリアに際立つのはNo.80の特徴だと思います。爪の先の僅かなタッチの違いにも敏感に応えてくれます。
No.80米杉は松のギ ターが多声部曲の声部を明確に弾き分けられるイメージなのに対し、杉のギター は和音を弾いた時に音同士が溶け合い、より調和した響きを聴かせてくれます。 奏者の奏でたい音楽助けてくれる、そんな 楽器に感じました。

■藤井 眞吾(ギタリスト) 2021年4月18日(日)試奏ギター: No.35G松、No.55G松、No.80松、No.80米杉
2021年4月に浜松でのリサイタル翌日に4本のギターを試奏させていただきました。
いずれも素晴らしい一級品のギターでしたが、中でも私のお気に入りはNo.80の米杉でした。
このギターはバランスが良いことや豊かな音量は最高級のギターの条件であることは言うまでもありませんが、それらを全て満たしております。なおかついずれの音域も明瞭で、私のタッチの変化に寸分の狂いもなく反応してくれます。まさに音楽を表現するに最高のパートナーと言える楽器でした。

■鈴木 大介 (ギタリスト) 2020年11月29日(日) 試奏ギター: No.80松、No.80米杉
江崎ギターを久しぶりに試奏しましたが、音が進化していることを感じました。
No.80の松の新作は弾きやすく、低音から高音まで全ポジションの音が澄んでムラなく出ます。音の立ち上がりが良い。均一に鳴るので音楽的な音がします。音に芯があって一音一音クリアで分離が良く歌わせやすく、高音は太くて丸い音で、低音は伸びやかでサスティーンが長く高音とのバランスが良い。
No.80米杉は音も江崎ギターに共通したクリアさや透明感を持っています。松と異なり甘い音色で杉なのに芯があって音が豊です。世の中の一般的な杉でなく松に近いような杉の音がしています。
両方とも素晴らしいギターで、コンサートで使用できるギターです。

■Leonardo Bravo (ギタリスト) 2020年11月1日(日) 試奏ギター: No.80松、No.80米杉
共通点は、弾きやすくピッチが正確で、バランスが良い。どのタッチにも対応し、芯があり響きが良い。
No.80松はアグアード的な美しい音色で、深い響きが印象的。低音から高音までのバランスが良くメロディーと伴奏のブレンドが美しい。ppでも音がはっきりしています。自分の意志を思いのままに表現できるのが素晴らしいです。No.80米杉は、松とは音の性格が異なるが、弾きやすくバランスも素晴らしい。パワーを使っても音が潰れてしまわない。弾く位置によって音色の変化が付けられるのが嬉しいところですね。

■竹形 貴之 (ギタリスト) 2020年3月7日(日) 試奏ギター: No.80松、No.80米杉
江崎ギターを初めて試奏しました。共通して言えることは、低音から高温までのバランスがよく、サスティーンも音量も申し分なく左手も押さえ易いので、弾いていて気持ちがいいのが大きな特長だと思います。
音色については、松は音に角がなくまろやかな中に松らしいピシッとした引き締まった音で、杉はとても暖かく甘い音で、共通していえることは輪郭がはっきりしていて芯が太いということです。
音色は好みの問題で、プロアマ問わずどんなタッチにでも対応してくれ、サロンからコンサートホールまで場所を選ばない万能なギターです。素晴らしいギターに出会えたことに感謝致します。

■上野 芽実 (ギタリスト) 2019年9月1日(日) 試奏ギター: No.80松、No.80米杉
今回江崎ギターを初めて試奏させていただきました。ドイツ松は明るく澄んだ美しさを感じ、木質な音質が非常に演奏の心地よさに繋がっています。全体のバランスは、低音部にしっかりとした支えを感じます。米杉は、杉独特の柔らかで暖かみのある音質で、音量も十分にあり、音の持続も長く、また和音のバランス、各声部の分離も非常によい、全てがうまく調和した楽器だと思います。二本の共通点は、どの曲を弾いても反応が非常によく、奏者の音楽的アイディアに答えてくれる信頼できる楽器だと思いました。

■松尾 俊介(ギタリスト) 2019年6月15日(土) 試奏ギター: No.80松、No.80米杉
松は開放弦も硬さがなく丸みを帯びた音色で、音が自然に遠くへ飛んでいく印象です。音階で音色・音量の凹凸が少なく、柔軟性に富んだ音の立上がりで弾き手のタッチに非常に敏感に反応してくれます。特筆は中音域の音程が音楽的なため、様々な作品の色彩を自然に出せるところです。奏者に寄り添ってくれる優しい部分と、奏者のタッチを色濃く反映する気の抜けない部分、両方を併せ持ったとても魅力的なギターでした。米杉は特有の弾力性のあるタッチで直感的な音量コントロールができ、非常に弾きやすいギターです。

■石井 奏碧(フラメンコギタリスト) 2019年6月4日 試奏ギター: No.35FB、No.80FB
No.35FBは、音の立ち上がりは白にしてはややゆったりですが、ボリュームがありパワフルです。右手の強いタッチも受け止めてくれるので、踊り伴奏に適していると思います。No.80FBは、 35FBに対して繊細な印象です。左手は弦が柔らかく押さえやすいのに、右手には適度な張りがありとても弾きやすいです。伴奏用でも問題ありませんが、特にギターソロに向いていると思います。2本の共通点は、音程が素晴らしく、とても明瞭な響きをしています。共に低音のサスティーンが長く力強いので、スペインのギターを弾いているようです。

■岡本 拓也 (ギタリスト) 2019年4月27日(土) 試奏ギター: No.80松、No.80米杉
調弦から楽器の反応が良く、全体のバランスが良く特に中高音域が気持ちの良いサスティーンと共に響いてくれます。低音は太くしっかりしていて、高音の響きを支えてくれています。その音はみずみずしく上品でした。米杉は特に音量で松との違いを感じました。音量の増幅に加え各声部の明瞭さも持ち合わせています。より大きなホールにてそのスケールの大きさが一層発揮されることでしょう。両方の共通点は低音から高音までのバランスが非常によく、歌いやすいこと。両手に余計な力を入れる必要がないため、その分音楽を自由に表現する余裕が生まれます。ステージ上でも様々な要求に敏感に応えてくれてとても気持ちが良かったです。

■大萩 康司(ギタリスト) 2019年2月23(土) 試奏ギター: No.80松、No.80米杉
江崎ギターの特徴である音色の明るさや低音から高音まで全音域のバランスが良さ、右手や左手の弾きやすさと同時に音楽をつくる弾きやすさは継続されています。松は低音の鳴り方や音色も好きな音です。高音も反応が良く、ハイポジも音色が変わらずに良く出ている。すぐにでもコンサートで使えるギターです。米杉は艶のある音色で、低音から高音までのバランスが良く弾きやすい。一般的な米杉の音でなく、松を弾いている人でも米杉の音の違和感があまりないと思います。合わせ物にも負けないパワーがあり、将来楽しみなギターです。

■益田 展行(ギタリスト) 2018年12月150日(土) 試奏ギター No.80松
何度か試奏しましたが、毎回共通して、木のぬくもりのある優しい上品な音色を持ち、どことなくスペイン的な雰囲気のある楽器だと感じます。今回の楽器は低音が引き締まり重厚な響きが第一印象として残りました。低音の支えの上に中音、高音がよく鳴り、和音が気持ち良くきれいに響いてくれます。単音もどのポジションでもバランスよく良く鳴り、やふくよかさがあり芯の部分はしっかりと引き締まっており表情も豊かなので、いろんな曲想に対応し多彩な表現ができるのではないかと思います。中音域の音の伸びも印象に残りました。

■新井 伴典(ギタリスト) 2018年10月20(土) 試奏ギター: No.80松、No.80米杉
松は、明るい音色で特に高音の抜けが良い感じを受けました。ウルフトーンが少なく、バランスが取れています。材料の反応も良く、試奏している間にも楽器全体が鳴ってきました。私の場合、松材ではルネサンス、バロック、古典派時代の音楽や、ドイツを含む東ヨーロッパの音楽で使用したい楽器です。米杉は弦のテンションが若干柔らかく、ビブラートがかかりやすいので歌い易かったです。私の場合、杉材では特にスペイン音楽や南米音楽等の明るく歌う音楽に使用したい楽器です。両方に共通することは、高音、中低音共にバランスが良く、明るい元気な音がするギターで、弾きやすいです。

■宮下 祥子(ギタリスト) 2018年9月30(日) 試奏ギター: No.80松、No.80米杉
No.80松は高音の抜けがよくなって、以前拝見した時より、よく響くようになりました。スペインの楽器のようにカラっと乾いた音になりました。すっきりとした透明感のある音色でこれまで以上に江崎ギターとして特徴ある音になりました。 高音が響くようになったことで6本の弦の響きのバランスもさらに良くなりました。手の感触としては、左右共に柔らかく弾きやすく感じました。米杉は弦長の短さを感じなくて、杉の良さが出ています。高音の印象は松と同様で、音の抜けがよくすっきりと響くようになりました。江崎ギターは進化しました。

■アレクサンドル・ガラガノフ(ギタリスト)2018年8月5(日)試奏ギター: No.80松、No.80米杉
松は、前回同様ギター全体の音色や音量のバランスの良さが弾き手に安心感を与え、音楽に集中することができギターと弾き手の間に大きな信頼感が生まれます。気持ちのよいギターで、弾くのを止めたくなくなります。また一音一音芯があるのに、和音を弾くとすべての音が絶妙に合わさり、気持ちよく溶け合っている印象です。米杉は木の良さを保ちつつ、明るくエネルギッシュな音を出すことができます。音の立ち上がりも早く、弾き手がエネルギーを与えれば与えるほど、それに答えてくれます。一音ずつクリアーな音が出ている良さは、和音を弾いたときも失われることなく、クリアーな和音を引き出すことができます。

■池田 慎司(ギタリスト) 2018年6月16日(土) 試奏ギター: No.80松
江崎ギターを初めて試奏しました。第一印象はテンションが柔らかく、レスポンスの速さ、ビブラートのかけやすさ、低音の厚みや音の伸びが心地よく、弾きごたえのあるギターだと感じました。音色は明るく艶があり、細い音も魅力的で、ジャンルを選ばず弾けるギターとも思います。高音の明るい艶と伸び、低音は主張しすぎなく存在感のあり、分離の良い音は全体のバランスとしてもとても良いと感じます。右手も左手も楽で弾きやすい。普段強めのギターを弾くことが多いので、私にとってはとても新鮮な体験でした。このようなギターも一本欲しいものです。