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■岡本 拓也(ギタリスト)
2021年10月3日(日) 江崎ギター工房にて
試奏ギター: No.35G松、No.80松、No.80米杉
江崎ギターのドイツ松を2年半振りに試奏しました。まずNo.35Gを弾かせていただき、相変わらずの高音域〜低音域のバランスの良さに驚きました。材料の違いによる所謂「ステューデントモデル」とのことですが、十分にステージでもその力を発揮するものと思います。どのポジションを弾いてもムラがなく、奏者の 表現の可能性を抑制しない素晴らしいモデルだと思いました。
次にNo.80ドイツ松を弾き、調律の段階から更に高級品の音を感じました。十分な音量が ありつつもサスティーンが長く、それでいて音の一粒一粒がクリアに際立つ様子は流石材料を厳選して作られたNo.80の特徴だと思います。No.35Gと同じ構造との ことですが、音色の艶やかさや、より上質な響きは材料の違いによるものなので しょう。爪の先の僅かなタッチの違いにも敏感に応えてくれます。
そしてNo.80米杉を弾かせていただき更に驚いたのは、2年前にまさにこの楽器を 弾いた時より角が取れ、柔らかな杉の音色が芳醇になっていたことです。松のギ ターが多声部曲の声部を明確に弾き分けられるイメージなのに対し、杉のギター は和音を弾いた時に音同士が溶け合い、より調和した響きを聴かせてくれます。 しかしボヤけているわけではありません。力木に松材を使用することで絶妙なバ ランスを取っているとのことでした。奏者の奏でたい音楽助けてくれる、そんな 楽器に感じました。
(記:岡本拓也)
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